ゴキゲン中飛車を指していたら乱戦にされた、超速で押さえ込まれてしまっったという経験が少なからずないでしょうか?
超速に押さえ込まれたまま、一直線穴熊の策略にはまったまま中飛車をしても大丈夫ですか?
そこで今回紹介するのが、豪快な捌きが特徴の振り飛車党鈴木大介先生著の『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』です。
安全にゴキゲン中飛車を指したいそんな人におすすめの一冊となっています。
『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』の内容やおすすめのポイントは?
『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』は、中飛車への対策としてもっとも多いであろう超速、一直線穴熊の解説に力をいれた棋書です。
そのほかにもアマチュアに人気がない超急戦、▲7八金の解説、角交換系の中飛車将棋、飛車先を保留した急戦などまでカバーした棋書です。
ざっとした内容は目次のとおりです。
特に『中飛車の基本』の中でもコンセプトとなっているのが以下の鈴木先生の文が端的に表しているでしょう。
大切にしたのは『どうすれば安心してゴキゲン中飛車がさせるか』という点。
引用:中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21) p8
そう。将棋初心者や級位者は常に思っていること。それは『乱戦はできれば避けたい』。
乱戦になるとどうしても研究量や自分の棋力がモロにでてしまいます。そんな戦いは神経を使いますし何よりたのしくない。
しっかりと囲って、さて攻めますかという将棋を指したい方におすすめの一冊となっています。
それぞれの解説の後にチェックポイントと題して重要な局面の次の一手がまとめられていて復習にも使えます。
『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』はほぼ超速対策が中心
『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』の内容はほぼ超速対策に集約されています。
というのも、全ページ数p222に対して超速に割いているページ数はp112とほぼ半分のページが超速に割かれているのです。
超速に悩まされている方、銀対抗以外の対策も身につけたい人には必ず役に立ちますよ。
超速に対しては鈴木先生がおすすめする作戦を3つ紹介しています。以下の3つです。
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- △4四銀の銀対抗
- △3二銀急戦
- 菅井流4四歩
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超速に対しての第一の作戦が△4四銀の銀対抗系です。
これは星野先生が奨励会で指し、その後に深浦先生がプロ棋士の将棋に逆輸入して一気に流行った戦法です。
未だに有力な戦法の一つで最近は左美濃を目指しつつ、2枚銀を狙う戦法なども流行っています。
鈴木先生の『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』の中では、基本的な超速の狙いから真の狙いがわかりやすくまとめられています。
また、銀対抗に対しての急戦のいなし方は右辺での金や桂馬の使い方も指南してくれます。この章だけでも買う意味は十分にあります。
また、超速から一転居飛車が穴熊を目指す形も紹介しています。
同じ内容が青嶋先生の本にも記載されていますので参考までに。
一方で△3二銀急戦は少し変わり種といった感じで乱戦傾向になりやすい戦型です。
正直今からゴキゲン中飛車を始めますという方にはあまりおすすめできない戦型です。鈴木先生の角の使い方は参考になるので流し読みでもいいと思います。
銀対抗に引き続きおすすめなのが菅井流の解説こちらも菅井流の狙いをわかりやすく解説してくれています。
超速側の銀を捕獲する手順は知らないとハマる相手も多いのでしっかりと身につけておく必要があります。
余談ですが、菅井流に対しての羽生先生の対策を羽生流セミ急戦と書いてあるのは少し笑えますよね。
一直線穴熊に対しては独自路線の四間飛車で対抗!
ゴキゲン中飛車に限らず、振り飛車をやっている限りあなたの前に立ちふさがるのは居飛車穴熊という名の悪魔です。
当然ですが、ゴキゲン中飛車でもそれは変わりません。居飛車側はできるだけ堅く囲ってから仕掛けたいので堅さを求めれば必然的に穴熊へたどり着くといった感じですね。
ゴキゲン中飛車VS居飛車穴熊という戦型に置いて、相穴熊という形もありますが、鈴木流はそのような定跡を解説していません!
美濃に囲ってから飛車を4筋に転換するという独自の穴熊対策を展開しています。
こちらの仕掛けは正直穴熊側の指し手に疑問が残るものの、4筋での攻防は参考になる筋ばかりなのでぜひとも盤上に並べながら読んでほしいものです。
お互い穴熊に囲って戦っているけどうまく勝てないというゴキ中党は一読の価値ありですね。
ゴキゲン中飛車への超急戦は乱戦を避けて安全に戦う!
ゴキゲン中飛車をしていると時たま出くわすのが、速攻で仕掛けてくる超急戦という戦型です。
ここで少し居飛車側の心理を考えてみましょう。
ゴキ中に対して超速や一直線穴熊は定跡が進んでいるものの、ゴキ中と互角になる変化が多いし何より変化が多くて対策をたくさん用意しなくてはいけない。
なら序盤の形がある程度決まっている状態から仕掛けて研究で上回ったらどうだろうか?
どうでしょうか?居飛車側の心理を考えればわかることですが、居飛車側が超急戦を仕掛けてくるということは、乱戦にしたいのではなく研究でゴキゲン中飛車を圧倒しようとしているということになりませんか?
一方のあなたはどうでしょうか?一番よくある対策である超速や一直線穴熊ばかり相手にしていて超急戦ってなかなか出くわさないから勉強をしていないことも多くありませんか?
そんなあなたにおすすめなのが『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』で紹介されている超急戦は外す定跡です。
居飛車側の研究を無にする意味でもこの作戦は優秀と思います。
超急戦は外すということは、あえて局面を収めてしっかり囲ってから戦う将棋にしてしまうということです。
形で言えば、先手側に▲2四歩と仕掛けられたら交換してから△3二金と飛車先を受けてしまうのです。
これで超急戦にはなりません。厳密にいうと少しゴキゲン中飛車が損している変化なのですが、あえて超急戦を仕掛けてくるあたりまともに定跡手順に進むと居飛車側の研究にハマることになりますよね?
それを考えれば少し損でも安全に囲って戦えばいいじゃないかということです。
局面を抑えたあとの方針や攻め筋が紹介されているので、逆に居飛車側にゴキゲン中飛車側の研究を披露して圧倒してやりませんか?
▲7八金、角交換系は内容が薄く参考程度
『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』では超速に多くのページを割いているのは先ほど確認しましたが、超速や一直線穴熊にページを割いているせいか、▲7八金や丸山ワクチン(角交換系)の将棋の定跡はとても薄い内容となっています。
軽く方針や狙いを確認するだけにとどまっているのでこれらの対策に対しての定跡は別の棋書で勉強する必要がでてきます。
それでも超速や一直線穴熊への対策の内容が秀逸なので十分かもしれませんが。
まとめ
ゴキゲン中飛車への超速や一直線穴熊への対応方法や撃退法を学ぶのに中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)はとてもいい棋書であることがわかったでしょうか?
特に超速に関して言えば、超速の狙いや真の狙いをしっかりと押さえて置くことで戦いやすくなることは間違いありません。
銀対抗、菅井流の部分は必読でこれだけわかっていれば、超速に対しての応対は十分できると思われます。
一直線穴熊に対しては中飛車から四間飛車に変身する筋が紹介されており、正直一直線穴熊側は相穴熊の変化ばかり対策しているので面食らうと思います。というか管理人は面食らって負かされたことがあるので本書を手にとったくらいですから(笑)
一方で上記2つの戦法以外の解説は紹介程度の内容といってもいいくらいで、内容がうすくなるのであれば、あえて超速、一直線穴熊、超急戦拒否の3つに絞って解説してくれればよかったなぁといったところです。
それでも何度もいいますが、これからゴキゲン中飛車を始めようという人は超速と一直線穴熊への対策は必須です。体感でいえばネットでの将棋の6割はこれらのどちらかで、残りの3割が相振り飛車、1割が超急戦や▲7八金といった印象です。
そういう意味では『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』は必読の棋書と言えますね。
ゴキゲン中飛車を主戦法に据えようと思っている将棋初心者の方には少し内容が難しいのでまずは『よくわかる中飛車』→『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』と読むとより理解が深まるでしょう。『よくわかる中飛車』に関しては『将棋初心者におすすめの入門書のよくわかる中飛車のレビューをしてみた』でふれているので参考にしてみてくださいね。
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[…] 超速、一直線穴熊にお困りのあなたにおすすめ!中飛車の基本(著:鈴木大介)!豪快に捌くゴキ中を堪能せよ! […]
[…] こちらの棋書では超速に対して全ページのうち半分くらいをつかって解説しています。超速の狙いから真の狙い、各種対策まで網羅されています。超速の基礎から応用までを叩きこみたいのであれば『中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21)』がおすすめです。一直線穴熊に対しては四間飛車に振り直す筋、超急戦に対しては超急戦を拒否する筋など独自路線で戦いたい人におすすめの対策ばかり紹介されています。詳しくは『中飛車の基本をレビューしておすすめポイントを紹介』に乗っていますので参考にしてみてください。 […]