四間飛車を指しているキッズたちよ!!待たせたな!!私がやってきたーーーー!!!
四間飛車を愛し、将棋に愛された男ーーー!!その名も・・・ry
とそういう茶番は置いておいて今日は、四間飛車VS山田定跡の解説を始めていきます!!
前回は四間飛車VS棒銀の定跡を解説していきましたが、解説の途中で分岐があったところを棒銀だけの解説をしました。今回はその分岐の図から山田定跡の定跡を解説していきます。
山田定跡は、格調高い急戦術で有名です。かの有名なプロ棋士「山田道美(みちよし)」先生が、打倒大山名人に当時としては珍しかった研究会を重ねて完成させた対四間飛車への急戦策です。
囲いに使うことの多い左銀を5七の地点に持ってきて攻めに使っていく構想は、当時では指されていなかっただけに鮮烈な印象を与えたことでしょう。
ちなみに、3月のライオンのスピンオフ作品である「3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代」では、山田道美をモデルとしている美崎八段が、美崎定跡を用いて主人公と戦っています。この漫画では美崎定跡と紹介されているのが、山田定跡です。
ほら、ちょっと四間飛車側ではなくて、居飛車側で指してみたくなったのでは?そういうあなたもこの記事を読めば山田定跡を少し指しこなすことができます。
それでは定跡の解説を始めていきましょう。
その他の四間飛車党が対策すべき定跡の細かい記事は下のとおり。
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四間飛車VS居飛車急戦の基本図
四間飛車対居飛車急戦での基本図が以下の図になります。
ここまでの指し手の解説は前回の記事を見ていただければ復習することができますので、ここまでの解説が見たいという人はまず前回の記事を読んでからこちらの記事に追いついてきてくださいね。
前回の記事:四間飛車VS居飛車急戦の最序盤の解説はここをチェック!
基本図を再掲
まず、基本図を見てください。上の基本図は四間飛車VS居飛車急戦の基本図です。
先手の四間飛車は、右辺に囲いの美濃囲いが完成しており、左辺は飛車、角、銀があらゆる急戦に対応しやすい形で待機しています。
後手の居飛車は、右辺は飛車、銀、桂馬が活躍できるように△7四歩が突いてあり、先手陣に対して角の利きも通って戦闘態勢を整えているところ、左辺は金と銀の上に玉が乗っている舟囲いを完成させています。
このように基本図は両者が今にも起ころうとしている戦いに備えて、理想の形を目指していると言えます。
ここから居飛車の急戦の基本図といっているので、当然後手の居飛車から仕掛けてきます。
格調高い山田定跡の世界を一緒に堪能していきましょう。
基本図から山田定跡は独特の指し手です。これぞ研究しなくては指せない手といった指し手です。
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四間飛車VS山田定跡の序盤定跡の解説
基本図を再掲
基本図以下 △7五歩!
銀も桂馬も飛車も角もなんの応援もない状態でいきなり△7五歩と突き捨てをしてくるのが、山田定跡へと誘う初手です。これを初めて見た時に、将棋って奥が深いゲームだなと思ったのを覚えています。そして、今改めてみると、研究なしにはこの手は出てこないなぁと思わされる一手ですね。
ただの突き捨てされど、山田定跡です。当然、先手としてはただですので取り込む一手です。
※ちなみに△7五歩としてきた手に対して▲6七銀と対応する手もありますが、今回の記事では割愛します。
26手目以降 ▲同歩、△6四銀
先手は当然、7五の歩を取り返す、▲7五同歩ですが、後手は狙いなくして、ただで歩を捨ててくるような手を指してきません。ここで、6四の地点に銀が上がり、先手の7五の歩を取ろうとするのが、狙いの一手です。
よく確認してほしいのは、前回の記事でも触れた銀が5段目に進出させることができたら居飛車成功という言葉です。
よくよく確認すると、居飛車側の銀が5段目へ進出するのを防ぐ手立てがないのです。
これは早くも失敗か!?と思った初心者四間飛車ラーの皆さん。安心したまえ。ここから定跡の一手が飛び出すぜ。
・・・とその前に定跡の一手を指さずに初心者がやりがちな手をするとどうなるのかを見ておきましょう。
失敗例 28手目以降 ▲6七銀
銀が5段目に進出してくるのを怖がり▲6七銀とあがるとどうなるでしょうか。一見丸い角の頭をケアしているように見えますが・・・
29手目以降 △7五銀
当然後手は狙い通り銀を5段目に進める△7五銀ですね。歩も回収しながら、銀も進めて気分がいい手です。
居飛車の次の狙いはわかりやすく、飛車先の突破です。
30手目以降 ▲7六歩
銀をおいかえそうと、歩を打ちますが当然銀を引き返すような手は指してきません。
31手目以降 △8六歩、▲同歩、△同銀(居飛車成功図)
居飛車狙いの棒銀が成功しています。ここからどう逃げても不利になっていきます。
このようにすんなりと銀を5段目までいかせると、ろくな目を見ません。
ではどうすべしか見ていきましょう。
28手目△6四銀 再掲図
ここで▲6七銀とする手を見ていきましたが、悪くなってしまいました。
この局面では定跡の一手があります。まず知らないと指せない手です。
括目せよ!!
28手目以降 ▲7四歩
銀に取られそうになっている歩を逃がす▲7四歩が定跡の一手です。
これは知らないと指せないと思うので、きたる山田定跡戦に備えてよく目に焼き付け、手にしみこませてください。
これですんなりと歩を取られることはありません。
上の29手目▲7四歩以降相手の指し手は主に2種類あります。
29手目以降の後手居飛車の候補手
定跡となっているのは、前者の△7五銀です。
△7二飛車に対しての先手の指し方としては、▲6五歩から角交換をして、飛車を戦いの起こっている7筋へ振り直し、相手の銀を捌かせないようにする指し方です。基本的に狙われている角を捌ければ自然と四間飛車側が指しやすくなるので、▲6五歩のタイミングを見計らって捌きましょう。▲6五歩が6四の地点にいる銀に当たるタイミングが失敗の少ないタイミングです。
29手目以降
定跡通り、そして先ほどの狙い通り居飛車側は5段目に銀を進めて、棒銀を狙ってきます。先ほどとは違い歩を取られていないため、先手は歩を1枚持っていますが、後手は歩切れとなっているのが大きいのです。
さて、次の居飛車の狙いを考えてみましょう。
まず第一に△8六歩~△8六銀と棒銀を狙う筋。
そして、第二に△7六銀と丸い角の頭を狙う筋。
両方の狙いに共通することは、後手の銀と角を交換する狙いです。
では狙われている角を逃がすのが、先手の方針となりますね。
角を逃がす=角を捌くということです。ここまで言えば上の局面で先手が指す手はわかりますよね。
30手目以降 ▲6五歩!
当然ながら角を捌く▲6五歩が正解となります。狙われている駒を逃がすのが当然ながら好手となります。
ここでの後手の思考としては2通りでしょうか。
1.角交換をすんなり行う。
2.先手が角を逃がそう(=捌こう)としているので拒否する。
1は振り飛車相手であればまず考える手です。振り飛車には角交換と言われるほどですからね。
2はこちらの狙いをつぶそうとする手です。しかしここでは1が定跡となっています。
では2の角を捌かせないようにするとどのようになるのか確認しておきましょう。
31手目 ▲6五歩 再掲図
角を捌こうとする先手の狙いをつぶすためには角道を塞ぐ手となります。
31手目以降 △4四歩
うーん解説しておいていうのもあれですが、後手は感触の悪い手ですね。そもそも振り飛車側から角道を塞いでくれているので、居飛車としては角道を通したまま戦いと思うものですが、それを自ら塞ぐのですから気持ち悪い手になります。
32手目以降 ▲6七銀、△8六歩、▲同歩、△同銀
先にも解説したとおり、後手の居飛車は△8六歩~の棒銀の狙いと△7六銀からの角いじめの2つの狙いがありますので、先手は後者を防ぐ▲6七銀です。
片方の狙いをつぶされたので棒銀で攻め手くる居飛車です。上の図を見たら居飛車が成功しているように見えますが・・・。
36手目以降 ▲6六角
後手の棒銀が成功しているように見えましたがひらりと身をかわす▲6六角が好手です。
構わずに後手は銀を進めてきますが・・・。
37手目以降 △8七銀成、▲8八歩(振り飛車有利)
一瞬後手の棒銀が成功したように見えましたが、▲8八歩で後手の攻めは頓挫しています。
ここで成金を8七に引くのはつらいですが、仕方ないところでしょうか。
ここから先手の方針としては7筋に飛車を振り直して、何か駒を入手すれば7三の地点にぶち込む手や、相手が強引に動こうとしてきたところを角交換、飛車交換していくのが方針となります。
このようにむやみに角の捌きを防ごうとすると、居飛車側が指しにくくなってしまいました。
そもそも角道を塞ぐノーマル振り飛車には角交換が有効となるケースが多いので、居飛車側から角道を塞ぐのはナンセンスです。塞ぐとすれば穴熊等の持久戦狙いの際くらいです。居飛車側は角交換を積極的に狙っていく姿勢を忘れてはいけません。
31手目 ▲6五歩 再掲図
再掲図以下は角交換するのが定跡となっています。
31手目以降 △7七角成、▲7七同銀
先手は角の取り返し方は、▲同銀▲同桂の2通りありますが、基本的には▲7七同銀が形です。迷ったら▲7七同銀としておけば痛い目を見ないケースが多いでしょう。・・・負けないとはいってないよ!!
33手目以降 △8六歩
ここでも後手には、候補手が2通りほどあります。
1.上記の△8六歩~の棒銀
2.再度角を据え打つ△3三角or△4四角
今回は△8六歩~の棒銀の変化を見ていきましょう。
34手目以降 ▲8六同歩、△8六同銀
さて、何度も何度もこの棒銀がでてきますが、居飛車の棒銀が捌けてしまいそうですが、これも計算のうちです。
計算のうちなのでこの局面では・・・。
36手目以降 ▲8六同銀
相手の狙い通りに進んでいるようですが、安心してください。ゼーレの計画通りです。
37手目以降 △8六同飛車
ついに後手居飛車穴熊の棒銀が捌けて飛車先も突破したように見えます。しかし、ここで切り返しの一手があります。ここからの数手は重要なので、できれば自分でも将棋盤や将棋ソフト、アプリ等で並べてみることを推奨します。
38手目以降 ▲7七角!!
飛車と香車の両取りがかかります。
ま、ここで重要なのでは飛車と香車の両取りよりもそのあとの先手の狙いの一手です。
39手目以降 △8九飛車成
当然ですが、飛車を取られては勝負になりませんので、後手は△8九飛車成と飛車を成り込みながら桂馬を回収します。
この局面は、居飛車が桂馬得となっており、先手側は不利になったと思うかもしれません。しかし次の一手が振り飛車らしい一着です。
40手目以降 ▲8八飛車!!!
桂馬を取られましたが、気にせずに相手の竜に飛車をぶつける▲8八飛車が好手です。
すべてはこのシナリオのための指し手といっても過言ではありません。
▲7七角~▲8八飛車とぶつける筋は、山田定跡に限らず、さまざまな急戦で出てくることが多いので、指に目に体に心にしみこませてからかえって下さいね。
放置すると竜を取られてしまうので、
△8八竜と飛車を取るか、△9九竜と取るですが、
△9九竜と香車を拾うと、▲8一飛車成が、先手の角の利きに入ってしまいますので、前者の△8八竜と取るしかありません。
41手目以降 △8八竜、▲8八同角!!
結果図は、先手に▲2二飛車打ちという必殺の一手があるので、後手はそれを防がなくてはいけませんし、飛車を打っては▲8二飛車、▲8三飛車等の狙いもあり、後手の桂馬得だけではつり合いが取れない局面となっています。この後の局面は次回以降に解説していきます。
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まとめ
いかがだったでしょうか。まとめますと、
山田定跡に対しての四間飛車の方針
・後手の銀上がりに対しては、7筋の歩を逃がすこと
・角交換を恐れずに角を捌いていくこと
・棒銀を恐れずにカウンターを決める
この3点でしょうか。
四間飛車は相手の攻めを利用して、投げ飛ばすカウンターの戦法ということが良くわかる定跡だと思います。
何度も読み返して身体に四間飛車の汁?を染み込ませましょう。
ほら、気づいたら臭くなってるでしょう(笑)
ってそんな冗談は置いておいて、ホントに四間飛車感覚をしっかりと身に付けて実戦にも役立ててくださいね。
その他の四間飛車党が対策すべき定跡の細かい記事は下のとおり。
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次回をお楽しみに!
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コメント
コメント一覧 (7件)
こんにちは!記事を読ませていただいております。紹介されることの少ない居飛車が▽44歩(55歩)と角道を止める筋が載ってて感動しました。質問なのですが、居飛車としては▽86銀▲66角のところを▽64歩▲同歩▽86銀▲88角ではダメですか?後手も怖い形ですが先手も嫌なのではないでしょうか。▽64歩に▲同歩ではなく▲78銀などなら▽86銀▲64歩▽77銀成▲同桂▽88飛成▲63銀▽56歩以下、研究してみると意外と先手の攻めが遅く後手良しな気がします。全然初心者解説の趣旨に沿っていなくて申し訳ありません。▲66角周辺を研究している四間飛車党は少ないので実戦で使えそうな気がしたので勇気を出して質問しました。筆者様はどのようにお考えになりますか?
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